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凱里ブルース Comments (9)
ヤクザが詩人になってもおかしくはない。世の価値観は常に揺らいでいて、人は風にそよぐ葦のように翻弄され続けている。封建主義のパラダイムが支配的であればそういう考え方になるし、大義名分にもなって他人を非難する根拠となる。拝金主義のパラダイムが支配的であれば金儲けをした人間が偉い人間なのだ。
誰のために何をするのか。自分は誰に必要とされているのか。自身のレーゾン・デートルを求めて旅をするシェンは、故郷に時の移ろいを見る。残ったのは人の優しさだけなのかもしれない。身の上話を聞いてくれた床屋に大切なものを渡してしまう。それがシェンの優しさなのだ。ヤクザから足を洗い久しぶりに訪れた故郷は、必ずしもシェンを歓迎してくれる訳ではないが、邪慳にもしない。うねうねとあぜ道が通る田んぼに風が吹いている。
映画における ”Take” : A take is a single continuous
recorded performance.
" ブラブラしたふらふらとした41分間のテイク " とコメントを読んで興味を惹かれ...
It is impossible to retain a past thought, to seize a future thought,
and even to hold onto a present thought.
冒頭に流れるテロップ...”金剛経” に興味のある監督のメッセージだとすぐに分かるが...映画自体に会話らしい会話があるけれども、しかし.....
内容とシナリオがはっきりとする会話がなく、その代わりに物語を埋めるように詩の朗読のような台詞も多く、それとは別に会話の代わりとしてのサウンド・スケープも映画の静かなものに邪魔をしないように耳障りが非常にいいが....
この映画の特徴として、”長回し” いわゆるワンカット撮影されている41分間があり、ダイマイという架空の村を主人公のシェンがバイクの後ろにまたがり村中を巡るシーンは、シェンという被写体を撮るために若い長身のカメラマンが被写体を追いかけるための移動手段として彼自身もバイクに乗り、追い続けた努力のたまものと聞く...しかしながら、いくらリハーサルを入念にしたからといって全ての場面でタイミングが合うかというとそうでもない場面も散見している...カメラが勢いが余って先行して後戻りするシーンや主人公の乗っていたバイクがいざ発進する時に必ずと言っていいほどエンストを繰り返していたのは、カメラマンがバイクに乗るための、またはカメラ自体をバイクに乗っているカメラマンに手渡すための時間稼ぎとしか映っていない...稚拙を通り越してわずかながら悪意にも感じられる。役者も同じことが言えて、台詞を言うつもりで身を前にのり出しているにもかかわらず、タイミングが合わずにまた後ろにと....? リハだけで90日間ッて?
時間が交差をする空間...このモキュメンタリー風映画のシナリオでは個人的にどの部分を指して言われているのか、はっきりと見えてはこない。出版物に対するレビューを数多く載せている情報サイトNYR Dailyにもこんな記事が、「タイムトラベルを前提としているけれども、サイエンスフィクションはほとんどありません。」...と
景色は確かに目を見張るほど緑や自然が美しい。...それとは真逆に中国の地方都市の不潔ぶりが目について到底、美しい映像ばかりとは言えない...そんな代物
家族・親類・友人だけでなく監督本人もカメオ出演している微笑ましい手作り感溢れる映画かもしれないが... 監督のおじさんがシェンさんでした。