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野いちご Comments (16)
「追憶」とは、過ぎ去ったものを懐かしむとか、失った心の故郷を取り戻したい感情なのではない。
それは、過去と現在の間ににひっかかっていて、「未来」へ通じる「時空との対話」のようなもの。
勇気とユーモアをもって過去を引き出すことができれば、もう必要のない癖を手放すことができる。そして本当に価値のあるものが輝き始める。
家政婦さんとの丁々発止な会話に、まぎれもない愛情があり、嬉しくなった。
個人的にはベテランの住み込み女中さん(あー、これも今はPC的にアウトな言い方かな)のチャーミングなセリフと仕草が大好きだった。若いときに見ても、誰にも感情移入できなかったかもしれないな。
今、生誕100周年でありがとう、ベルイマン。
デヴィッドリンチやイニャリトゥ、フェリーニなど、多くの映画作家に影響を与えた作品として知られているため鑑賞。
モノクロの映像が美しい、って所までは行った。笑
カメラは殆どフィックスだけどたまにドリーとかある。時代柄というのもあるけど、変にカメラを動かさないから、役者の配置とかに集中出来るんだろう。照明や構図などバチッと決まってるなぁという印象。
物語自体は、おれにはまだ早いかな…
老人が今までの人生を振り返り、自分の誤りに気付き、最後に改まって人に親切にする、という…
まだ20代のワシには早すぎるのぉ。
タルコフスキーやキューブリックほか名だたる監督たちがリスペクトする巨匠イングマール・ベルイマンの映画ですから素人が感想を語るのもおこがましいのですが・・。
ストックフォルムの78歳の老医師イサク、40年来の家政婦アグダとの二人暮らし、老いのせいか見る夢も棺桶に入った自身に出会う悪夢とかいかにもです。大体、人生も終盤に差し掛かると死への不安とか自身の生き方を省みる傾向が強くなるのでしょう、心象風景の巧みな映像化という点ではベルイマン監督は先駆者のひとりなのでしょう。
母校のルンドへ向かうはずが思い出に駆られたのか青春期に過ごした湖畔の別荘や、老母を訪ねる寄り道、10人兄弟というのも凄い大家族ですが資産家だったようで優雅な生活ぶりでした、一人暮らしの老母の愚痴は子や50人もいる孫たちが訪ねてもくれないこと、たまに来るときは金の無心、世相の反映でしょう。
イサクのトラウマ、心の傷と言えば弟に婚約者を寝取られたことと回想シーンで明かされます、それもあって妻ともうまくいかなかったようです、マリアンヌが語る息子の性格も自身に似て厭世的なのは宿命のような端折った描き方でした。長年医師として社会貢献し栄誉を称えられるはずが自身の夢想では勉強不足で落第のレッテル、地元では感謝されているようですが描かれなかった医師時代の失敗談があったのでしょうか、実像をあえてぼかしているようにも見て取れます、どうも客観的な人物像の掘り下げは監督の好みではないようですね。
ストックフォルムからルンドまでは約600km、東京から姫路くらいの感じでしょうか、長い道中なので二人だけの暗い展開では持たないと若いヒッチハイカーを加えて話に色を添えています。
道中で心の整理がついたのでしょうかルンドに着いてからは物事が一気に好転、マリアンヌの懐妊にあれだけ嫌悪していた依怙地な息子がまるで呪いが解けたかのように悔い改めました、こういう顛末なら息子役のグンナール・ビョルンストランドの鬼気迫る演技をもう少し抑えさせるべきでした。まあ、さんざん気を揉ませて暫時ハッピーエンドですからドラマとしては成立なのでしょう。