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神様のくれた赤ん坊 Comments (2)
晋作(渡瀬)は漫画家を目指しながら芸能プロで“どなり屋”のバイトをしている。小夜子(桃井)は俳優を目指しているものの失敗ばかり。そんな小夜子は妊娠したようだったが、不安定な生活では無理だと晋作は猛反対。そんな時に現れた田中新一少年(鈴木)。母親である女性は好きな男と南米へ駆け落ちしたらしく、晋作を含めた5人の可能性のある父親の名前を残して行ったのだった。小夜子はむくれていて、窮した晋作は新一を連れて父親捜しの旅に出て、小夜子もふるさとを探すと言って付いてきた・・・
まずは尾道。晋作は市長候補の田島という男に会ったが、パイプカットしており、恐喝、公職選挙法違反で逮捕される。実は秘書が田島の名を騙って付き合ってたらしいのだ。養育費と三十万円を受け取るが、血液型からして父親ではなかった・・・
次は別府。第二の男(吉幾三)は結婚式当日であり、引き取る意志はなく、披露宴の真っ最中に父親が5万円ぽっちの養育費を差し出したことで2人はキレた。友人スピーチの際に小夜子が名乗り出て、秘密をバラそうとするところへ“100万円渡す”というメモが・・・(笑)。ここでのスピーチの切り替えしが上手い!やっぱり女優だ。
唐津での第3の男はライオンズにドラフトで入団した男(小島三児)だったが、ジャイアンツファンの新一のおかげで乱闘騒ぎ。
最後の男を訪ねたが、当事者はすでに死亡。若松の川筋者の二代目だったが、父親(嵐寛寿郎)は三代目を紹介する。それが未亡人(吉行和子)。疑いのある者だったら引き取ると、あっさり引き取ったのだが、万事解決したかと思うと、「もしかしたら、私たちの考えてること同じなんじゃないかしら」という台詞。エキストラばかりの小夜子が初めてもらったという台詞を語るところが上手い!
父親捜しというストーリーの伏線に小夜子のふるさと捜しがあるのだが、父親候補の土地と近いところばかりというツッコミはよそに、これが泣けるところだ。自分が幼少の頃住んでいたところを探しているうちに、亡き母(楠トシエ)が長崎丸山の遊郭で働いていた事実を知ってしまったのだ。悲しみのためやけになり、娼婦然で街に立つ小夜子。童貞青年に声をかけられ、ホテルまで行くのだが、寸でのところで逃げてくる。尾道での初恋の男(森本レオ)とのエピソードは面白くないけど、この母の出自に関しては心に突き刺さる痛みがあった。
最後は新一を連れ戻しに踵を返す2人のシーンでエンディング。高橋真梨子の歌うテーマ曲がドンピシャで始まるところが最高だ(曲はたいしたことない)!
渡瀬さんと桃井さんの暮らす家や、生活の様子なども、こんな時代だったんだー、綺麗とかカッコいいとかお金あるとかそういうのと違うけれど楽しそうでいいなぁと感じられた。
バイトやらマスコミやら、野球やら、お城やら、お酒やら、いろんな要素があって、まさに娯楽映画。
二人が訪れる先でのやり取り、ヒロインのお母さんのことの回想など、人間の温かさを感じる。
あとでじんわりくる、いい映画でした。
渡瀬さん、やっぱいいなぁ。