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竹取物語(1987) Comments (3)
古来から日本人お馴染みの“かぐや姫”。
円谷英二の念願だった企画を、市川崑が映画化。
製作に田中友幸、特技監督に中野昭慶。
市川組と東宝特撮組が豪華タッグ。
市川崑らしい映像美。豪華絢爛な美術・衣装。
製作費20億円をかけ、国内で作られた同作ではおそらく最大規模。
巨大竜やその他諸々の特撮、当時の最新SFXを駆使したクライマックスの『未知との遭遇』ばりの巨大宇宙船など、中野昭慶の腕の見せ所。
本作は市川作品であると同時に、れっきとした東宝特撮作品の一本でもある。
話自体は誰もが知っているので、今更説明する必要ナシ。
ユニークなのは、他の同作品との相違点。
何と言ってもその最たるは、かぐや姫は宇宙人だったという設定。
幼少時の青目のかぐや姫や、本来御所車と天女である月からの迎えが巨大宇宙船になるなど、純日本的物語に西洋風のSF要素が取り入れられ、また違った“かぐや姫”になっている。
映像や特撮は見事だが、ドラマ部分は…。
かぐや姫の心情を事細かに描いた高畑勲版を見た後だと、どうしてもドラマ的に弱い。
かぐや姫はあっという間に成長するし、昔ながらの運命に身を任せる典型的な女性像。
育ての父母との愛情、美や宝の虜になった人々の欲など描かれているものの、今一つ深みが足りない。
ドラマ部分も見事だったら、ひょっとしたら傑作になっていたかもしれない…。
市川作品の代名詞でもあるオールスターキャスト。
日本映画界を代表する圧巻の顔触れだが、三船敏郎らの演技がちと芝居ががってるのが気になる。
作品の出来としてはまずまず。
日本人に語り継がれる馴染み深い物語と贅沢な映像世界だけでも堪能出来れば。
B級パロディだと月世界人をバニーガールに仕立てかねないが、東宝が55周年記念作品として作っただけに大真面目、役者からスタッフまで超豪華な顔ぶれ、衣装もワダエミさんというこだわり様、未知との遭遇にも劣らない眩い宇宙船の登場、東宝SFでは人間側の話はおまけになりがちだったがさすが名匠市川昆監督、抜かりはありません、素晴らしい新解釈のファンタジーにしてくれました。
高畑勲 版の映画「かぐや姫の物語(2013年)」を視聴したので、続いて、市川崑 版の映画「竹取物語(1987年)」を視聴しました。
オリジナルの奇譚「竹取物語」との大きな変更点は、
(い)オリジナルは かぐや姫に対しての求婚者は“五人”でしたが、求婚者が“三人”になりました。
ここは、物語が冗長になってしまう(無駄に長くなってしまう)ことを防ぐために“二人”削ったのでしょう。
(ろ)オリジナルでは求婚者の誰にも関心を示さなかったのに、かぐや姫が大伴の大納言に対して想いを寄せる(好意を持つ)。
(は)オリジナルでは月の人々の乗り物は“雲”とか“飛ぶ車”だったのに、“UFOのマザー・シップ(母船)”になっている。
ここで、明確に≪かぐや姫≒宇宙人≫説を打ち出して来ています。
UFOの造形は、映画「未知との遭遇(1977年)」のラストに登場した“UFOのマザー・シップ(母船)”を参考にされたのでしょう。
(に)オリジナルの肝心なセリフ、頭・王(かしら・おう)のセリフが抹消されている。
~青空文庫~_竹取物語/和田萬吉
その中から頭らしい一人が翁を呼び出して、「汝翁よ、そちは少しばかりの善いことをしたので、それを助けるために片時の間、姫を下して、たくさんの黄金を儲けさせるようにしてやつたが、今は姫の罪も消えたので迎へに來た。早く返すがよい」と叫びます。
~Wikipedia~_竹取物語
王は「お前、幼き者よ。少しばかり翁が善行を作ったから助けにと、僅かばかりの間ということで姫を下したところ、長い年月の間に多くの黄金を賜って、お前は生まれ変わったように金持ちになったのだ。かぐや姫は罪を御作りになったので、このように賤しいお前の元にしばらくいらっしゃったのだ。罪の期限は過ぎた。早くお出し申しあげよ」と翁に言うが、翁は従わない。
・・・の四点でしょうか。
高畑勲 版の映画「かぐや姫の物語(2013年)」は、かぐや姫の成長(初潮があったり、引眉&白塗り&お歯黒があったり・・・)を主題にしているんですが、
市川崑 版の映画「竹取物語(1987年)」は、「かぐや姫は宇宙人だった!」というSF路線に走っています。
ぼくはスピリチュアル・オカルトに興味があるので、
1917年、ポルトガルのファティマで起きた“ファティマの奇跡”のことは知っていました。
この映画の≪かぐや姫≒宇宙人≫説は、十分(じゅうぶん)に在り得ると思っています。
ぼくの持っている かぐや姫のイメージは、
ぼく「“外面的な美しさよりも内面的な美しさ”
・超然としたオーラーをしている(凛とした雰囲気をしている)
・光輝なオーラーを放っている(光っている)
・透き通ったオーラーをしている(良い雰囲気をしている)
・・・
によって男性達の“気”を惹(ひ)きつけたんじゃないかな~」
と想像しています。