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ユンボギの日記 Comments (2)
大島渚監督による韓国で撮影した少年のスチール写真に小松法正によるナレーションを重ねた25分のドキュメンタリー。
写真だけで退屈すると思っていたが、予想外に惹きつけられた。
母親に捨てられ父親が病気で極貧の中、長男としてガム売り、靴磨き、新聞売りと職を転々としながら弟妹たちのことを思い何とか生きる韓国の少年の姿。きっと、大島渚は、日本の少年像や自分自身を投影し、結果としての大いなる共感が表に出ているからか。
また、静止映像とナレーションと音楽だけで、見るものを惹きつけるのは、方法論としても目新しくて面白いと思った。
朝鮮戦争後に孤児が5万人もいた。ユンボギの家庭は病気の父親のために母親が家を出て行った。家賃が払えなくなり、テグ近くの闇小屋へと引っ越すこととなった。10歳のユンボギには8歳の妹スンナ、6歳の弟ユンシギ、5歳の妹テスギがいるが、家計を助けるためにガム売りをしてしのいでいたが、やがてヤギ飼い、靴みがき、新聞売りと職を変える。やがて妹スンナも「稼いで戻ってくる」と言い残し家を出たため、ユンボギはさらに孤独を感じ、母を探したいと思うようになる。
戦後日本の混乱期も似たような孤児がいっぱいいただろうけど、あまり知られていない軍事政権下の実情を伝えてくれる作品。先日見た『ラ・ジュテ』も同じようなスライドショーだったが、クレジットにモンタージュとしっかり書かれていた。この大島作品も自身のモンタージュ理論のきっかけになったとのことだが、モンタージュそのものよりも子役の声優(不明)が素晴らしかったため感情移入もできたと思う。
戦争による負の遺産についても訴えてくるものがあったし、罪のない子供たちが最も悲惨な経験をする虚しさが伝わってくる。さらに8月15日は日本では終戦記念日であるが、韓国では光復節(独立記念日)。日本が韓国を植民地支配していたことをも思い出させてくれる。