PITY ある不幸な男

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I am very familiar with the route that my tears follow from my
stomach up to my eyes. 　They go through my lungs, then my
oesophagus, the carotid artery, ending up in my eyeballs.
習慣というものが自分自身に対して常に合理的または誠実であるとは限らないのも確かで、何よりも、理性に支配されているのに人はそのことに誇りを持ってしまう。しかし、自分には何もないと思う退廃的な内面が外の世界では何かにつけ羨むほど豊かであると思ってもしまう。

弁護士として依頼者に誠実に対応している主人公は淡いターコイス・ブルーの海が一面に眺めることのできる豊かな生活と仕事、家、ビーチ、友達を訪ねる、息子の世話をする、事故でこん睡状態になった妻に会いに行き、帰り際には彼女の唇にキスをする．．．　などいたってシンプル過ぎている1日を送っている。その正常性においての単調さの中に一定の快適さを確保し機械化された悲しみを日々もたらす麻薬の効能よりも彼の中には満足という快感を得ていたが．．．

In the wake of the 2009 financial crisis in Greece, a new cinematic
movement, dubbed the “Greek Weird Wave” emerged.
（Film Inquiryの記事より）
笑顔のない小津映画のように登場人物は誰一人として笑わず、ニコリともしない。本作が病的でばかげたナンセンスで、面倒くさい感情を無くした人たちの描き方が、一般的に、芸術性が高く、大衆市場よりもニッチ市場向けに作られたアートハウス・フィルムと呼ばれるものになっている。そのことは、ギリシャでは経済破綻がもたらした功罪の一つとして今、起こっている "グリーク・ウィアード・ウェーブ" という運動が、プロデューサーや映画監督、フィルムメイカー達の間で起こっている。以前のギリシャ映画界の習わしとして、お金で映画賞を決めていた腐りきっていた体質に映画関係者が長らく待ち望んでいたギリシャ映画産業の変革を求める運動が起こったことによって、本作は生まれたと言っても良いかもしれない。

I say pain is pain and everyone needs a hug.
この映画のことをサイコ・スリラーと呼ぶ人がいるのは分かる気もする。でも見た目はダーク・コメディと言えて、そのことは、登場人物に役どころの名前が無いことやあったとしても愛犬のクッキーしか主立っては出てこない。クッキーってお菓子の意味もあるけれどここでは別の意味として存在している．．．　そしてこのワンちゃんの演技がラストのラストですべての人間よりインパクトの大きいダーク・コメディのシンボルとなっている。このシーンを見たとき「なるほどね⁉」とつい思ってしまった。

I want to be able to cry so badly. My eyes and my cheeks feel
bloated.
原題の『Pity』に対してマクリディス監督は、言葉の意味が二通りあると語り、一つは、他人を憐れみ、人として自分が大丈夫だと感じることで、もう1つは、自分が大丈夫だと感じるために同情を得ようとすることであると．．．　思いやりのある隣人が毎日彼のために焼くオレンジ・ケーキを待ち望んでは、朝、彼女が来るまで玄関ドアの前で待ち、また彼は、ドラッグ・アディクトが切望するように共感を追い求め、ドライクリーニング店を訪れ、店員が毎回聞く「奥さん、いかかですか？」を表情を変えずに心地良い快感だったものが、ある日を境に一瞬にして奪われることに．．．　ケーキを作るように階上に住む奥さんに尋ねても作られはせず、店員は「奥さん、元気だってね」なんて言われてもしまう。朝起きて、日課のようにむせび泣いていた彼が、すべてを奪われてしまうことになろうとは？そして、彼がとった行動が．．．

I wish you the best.
コメディがジャンルの境界を曖昧にしていると断言するとき、『RUN ラン』で見られた代理ミュンヒハウゼン症候群と直ぐに分かるものが、この映画のテーマでもある自己憐憫（じこれんびん）と代理ミュンヒハウゼン症候群との境も分からなくなる。
とにかく無表情な主人公の感情の起伏や喜びの内面を表すためにカラヤンもびっくりの交響曲第9番 のフィルムスコアが、ことあるごとに流れてもダーク・コメディではそんなことも許してしまう。

配給元のTOCANAの過去に放映した映画をことごとく腐した者としては、反省をし、この『PITY ある不幸な男』は最高と呼べる作品となっている。ただし、TOCANAだけに？

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『ロブスター』『聖なる鹿殺し』のエフティミス・フィリップ脚本作
この2本はすごく面白かったので見てみた

「昏睡状態になってしまった妻を見舞う夫」という状態に精神的に恍惚感を感じてしまった男の話‥
うぅー？？変な話だったなあ。
共感もなんもできないし、主人公、最初から狂ってたんじゃないかな？
すごく淡々とした静かな映画だけど主人公の男の感情が動くと爆音で音楽が鳴り響く‥
うーん？この脚本家らしいすっごく変な作品‥